アの人がぼやく

ボドゲ、TRPG、本…色々思ったことを書きます。

エルデンリングTRPG、原作未プレイ勢が遊んでみた感想・レビュー

ELDEN RING…フロムが出した大人気オープンワールドRPG。それをTPRGとしてSNEさんが出版されたのがELDEN RING TRPG(以下、エルデンリングTRPG)で、つい先日、そちらを遊んでいきましたので、感想とかレビューを書いていきます。

ELDEN RING初心者3人、狭間の地に立つ

まず私と他知人3名(一人GM、二人PL)で遊んだのですが、なんと原作既プレイ勢0。

私自身はコミック版やYoutuberのゲーム実況視聴、エルデンリングTRPG紹介動画による予習などで、なんとなく知っている部分はあったものの、中にはそうした知識すらないPLも。とはいえダークソウルなどで有名なフロムのゲームが元ということもあって、「最初のオープニングの意味とかわかんないけど、フロムだし、いつものことでしょ。」で世界観の理解がなくてもなんか遊べちゃうのは流石です(笑)

PLも初、GMも初回しということで、キャラ作成とチュートリアルシナリオのみでのんびりとプレイ。チュートリアルシナリオをクリアした感想としては「とりあえずチュートリアルシナリオをクリアすれば、どういうシステムかがわかるくらいにはシンプルなシステムだ。」と感じました。

というのも基本的には、①エリアに入る→②エリア内のフロア数だけイベントを振る→③踏破(経験値が入る)→④次のエリアに進む、を繰り返す自動処理多めのシステムで、TRPGというよりは多人数版ゲームブックという印象。また②や③のステップで戦闘が入ることがありますが、その戦闘もボス以外は1ターンしかやらない簡易戦闘のため、「探索→戦闘→(繰り返し)」の流れをかなりサクサク遊べます。「紙とペンでやるハクスラ」といった感じでしょうか。

ちなみに自分たちは、勇者・放浪騎士・星見という3人プレイ時のルルブ推奨の安定パーティな上、ボスの攻撃がタンク役である放浪騎士や4人未満プレイ時限定のお助けキャラ(遺灰という奴です)に集中したため、初見プレイでノーデスクリア、ホクホクした気持ちでセッションを終えました(笑)

 

システムへのレビュー

まだ1回目のプレイ&チュートリアルのみのプレイなので、ちゃんとしたレビューではないことをあらかじめことわっておきます。ですが、先述のシステムに対して思ったことを含め、原作未プレイ&TRPG経験者な自分がレビューしていきます。

原作再現重視?したハクスラゲームブック

「原作再現を重視とか未プレイが何言ってんねん」って感じがするのであくまで?としました。具体的には、ダークソウルTRPGのときにも採用されていたらしい「複数のダイスをアクションとリアクション、どちらにどれだけ使うかを選ぶ」という原作のスタミナゲージを再現した戦闘システム、装備の重量と持久力によってローリングのしやすさ(回避の達成値)が「軽」「中」「重」で変わる点、祝福によるシナリオ中のレベルアップが可能な点、敵を倒すことでそれにちなんだ武器・装備のドロップ、回復瓶、遺灰…自分の知る限りだけでも原作の要素を上手くシステムに落とし込んでいると感じました。また、あくまでもPL4人で遊ぶ前提の本作ですが、それは4人旅というわけではなく、「一人のホストがゲストを3名召喚している」という設定であり、原作におけるマルチプレイを再現するという徹底ぶりです。

また先述した「探索→戦闘→(繰り返し)」をサクサク遊べるハクスラな点も、自動処理多めでPLの自由度低めな点も、淡々とゲームを遊ぶ感覚に近いです。(多くのTRPGは戦闘の処理に時間がかかるため、1セッションで何度も戦うようなことはあまりしませんが、エルデンリングTRPGチュートリアルですら4戦くらいはしたと思います。)

なので「原作ELDEN LINGでプレイヤーが駆け回る狭間の地、という舞台を借りたTRPG」というよりは、丁寧に原作をアナログで再現した「紙とペンで遊ぶELDEN LING」という印象が強いです。

ロールプレイには向いていない

そしてその結果、ロールプレイにはあまり向いていないと自分は感じました。(下記はあくまで個人的な感想であり、本作を批判・非難する意図はありません)

理由は2つあります。

一つは狭間の地にやってくる理由がよくわからないことにあります。これは自分が未プレイで理解が浅いのが原因なのかもしれないですが、狭間の地の外がどうあって、どうしてこの地に流れ着いたのかがよくわからないのです(少なからず、今回のセッションでは語られなかったです)。そのため、キャラクターシート作成時に経歴(汎用的なものと、素性に関するもの)や動機(普段の行動指針)を決めるのですが、それと狭間の地に流れ着く導線が結びつかず、無関係な経歴と動機を持ったPC達が、いきなり狭間の地を訪れることになるわけです。

もう一つは自動処理が多く、PCの自由度が低い…というか「探索と戦闘を淡々と繰り返す」の一択であり、そのせいでそのPCらしい行動をとらせてあげられないことです。ダンジョンに進み、探索をして、敵を倒して踏破する…こういうシナリオをメインとしたシステムは多くありますが、その多くはセッションの過程でPCの性格や動機を反映させる余地があります。例えば、「慎重な性格なので、扉を開ける前に罠を調べます」とか「正々堂々戦いたいキャラなので敵と真っ向勝負します」とか「財宝が冒険の動機なので、逃げた悪者より目の前の財宝を優先します」とか、です。やっていることや最終地点は似たようなものでも、その過程で選択できる行動の有無や多寡は、PCに設定された性格や動機を表現する機会の有無や多寡となります。それがエルデンリングTRPGにはほとんどないのです。おかげで個人的には経歴表を設定する意味をあまり感じませんでした。(むしろそれを表現しようとするのが難しく感じました)

まとめると、元居た場所のこと(全体的な世界観)も狭間の地を訪れる理由や目的(探索する動機)も明確にならず、また探索と戦闘を淡々と繰り返すだけ(行動選択や宣言でのPC表現ができない)ため、ロールプレイに向いていないと感じたわけです。

 

多人数ゲームブックと割り切り、ロールプレイを捨てる

セッション当日の話ですが、自分はTRPG経験者のため、最初は動機や経歴から「このキャラはこんな性格で、こういう願望がある」と自分なりにまとめて臨みました。そして挟めそうなところでロールプレイを挟んだ結果、途中から「ロールプレイ邪魔かもなぁ」と感じました。別に周りの人を不快にしたとか、進行の邪魔をした…とかそういうわけではないのですが、なんというか「脈絡がないなぁ」と感じたのです。自分のキャラクター設定が悪かったのかもしれません。ですが、改めてなんでロールプレイが邪魔と感じたのかを振り返ってみると、そもそもシステムがロールプレイに向いていないのかもしれない、という先述の考えに至りました。

「じゃあ面白くないのか?」と問われると、戦闘それ自体は面白いシステムですし、それに戦闘以外の簡略化やモブ戦闘の短期化のおかげでその「戦闘の面白さ」を何度も味わえるシステムとなっています。セッション途中に成長が可能であることなど、他システムにはない面白さもあります。なので「経歴とか動機とかロールプレイとかはごちゃごちゃ考えず、ひたすら探索と戦闘を繰り返して、狭間の地を如何に死なずに攻略できるか&キャラをどう成長させるか」を楽しむゲームだと思いました。(むしろロールプレイが苦手、ロールプレイよりも戦闘を楽しみたい、といった方にはオススメしやすいシステムです)

もし次回があればそのときは「TRPGをする」つもりではなく、「ハクスラゲームブックを皆でわいわい楽しむ」つもりで臨みたいと思います。